原油価格がマイナスになった理由(メモ)

WTI原油の5月限は、翌21日が最終決済日(納会)に当たり、この時点で建玉を有する取引参加者は漏れなくすべての未精算残高を反対売買、もしくは現物の受け渡しによって決済する必要があった。納会の朝時点での当該限月の未精算残高が10万枚強(1枚は1,000万バレル)あった。先物取引では納会までに売り方は買い戻し、買い方は売り戻すことで建て玉を清算し、損益を確定せねばならない。しかしNYの先物市場では現物決済も認められていて、価格が現物市場から大きく乖離するようであれば現物での決済も可能だ。

すなわち、相場が安すぎれば書いては現物で引き取り、高すぎれば売り手は現物で引き渡す。今回のマイナス価格は相場が以上に安いにもかかわらず買い方が引き取り不能状態になったことで発生した。そうなれば買い方は現物決済を断念して売り戻すしかない。そんな買い方の弱点を悟った売り方は徹底的に相場を売り崩し、買い方が諦めて売り戻すまでスクイーズする(追い込む)。その日瞬間的に売買されたマイナス40ドルという極端な価格にはそんな背景があった。実需の世界とはかけ離れた空中戦の世界だ。

(出典:2020.5.16 週刊東洋経済p34 米州住友商事 ワシントン事務所長 高井裕之氏)

Follow me!